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ワンチャイの売春

ワンチャイの未登録の性風俗産業のレポート。Sing Tao新聞グループからの親切な許可を得て複写したもの。

日曜の正午。ワンチャイのバーでは、すでにビジネスが繁盛している。

ロックハートロードのホステスバーの外に掲げてある、つたない英語で書かれた看板が、数千人の水兵と海兵隊員を降ろすために港に着いたばかりの航空母艦米軍艦Nimitzから下船した乗組員達を迎え入れる。通りは、完璧な身だしなみの戦士というよりも、スヌープ・ドギー・ドッグを目指した、ヒップな一般市民に見える陽気な若い男たちで溢れている。彼らはビールと性的冒険に飢えているのだ。

彼らの後を追うのは、大勢の魅力的な若い女性達だ。ミニスカートを履き、偽のグッチのバックを手に、1950年代からこの通りで演じられている魅惑的な振舞いを見せている。

今でも、しなやかな若い女性が、光沢のあるポールにもたれ(法的に)腰をくねらせ、高価なドリンクをご馳走してもらうよう顧客を誘惑するワンチャイの旧式のゴーゴーバーは、最も日常的に売春と関連している場所だ。

しかし、近年、ワンチャイの状況にかなりの変化が見られている。現在ある一握りのバーの中からは、既成のダンス音楽か、フィリピン人のカバーバンドの騒々しい音が鳴り響いているケースが多い。こういったバーの一軒に入ると、香港の未登録の売春の側面をすぐに理解することができる。

タイトなジーンズかミニスカートを身に着けたフィリピン人を中心に、数十人もの女性が、好色な男性を待ち受けて、踊ったり店内をうろついたりしている。これら女性の多くは、友達と一緒に楽しい時間を過ごすために来店した単なる顧客だ。しかし、大金を約束する闇のリクルーターにより香港に連れて来られ、ここで売春に精を出す女性の数が増えてきている。

窮屈なアパートに詰め込まれ、移民局の役員から香港での滞在を拒否され、母国に送り返される前に、少なくても元を取れることを祈っている女性が大半だ。

男性顧客達は、ビジネスマン、在住外国人、ツーリスト、そして日曜には、Nimitzから下船した活力に満ちた兵士や水兵たちだ。

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バーの椅子に座れば、待つことなく、すぐに笑みをたたえた女性が隣に現れ、ドリンクがつがれ、会話が始まる。もしかするとそれ以上のことが起こるかもしれない。

フィリピン領事館の役人によれば、これら女性達は、香港に来てバーで働くために、トライアドシンジケートの代理人から、リクルートメント代として約1000米国ドルを請求される。この金額は航空券をカバーしているが、日雇い給料から返金をしていかなくてはならない。

「我々は、この女性達を人身売買の犠牲者と呼んでいます」とある役人は語る。領事館ができることはほとんどないという。役人の話によれば、女性達は、香港で何が起こるかという知識がないまま、自らの自由意志で香港に来てしまうのだという。

ワンチャイの警察署のスポークスマンは、この人身売買が組織化されているという考えに異議を申し立てており、トライアドは関与してないと主張している。「既知のシンジケートはない」と彼は言う。「海外の女性は、通常、独自に運営している」

これは、大金を稼げると信じて香港に魅せられてきた女性側が訴える状況とは違う。彼女達は、事実上借金奴隷になっており、航空券、宿泊費、食費を「マネージャー」に支払うために、毎晩、より深く夜の売春を強いられているのが真実だ。女性達によれば、借金を返金するまで、シンジケートが彼女たちのパスポートと旅行書類を取り上げるケースが多いという。

これらの事実は秘密にされているわけではない。女性にドリンクをご馳走して、彼女たちの話に耳を傾ければすぐにわかることだ。一部屋最高8人が同居するという小さなアパートに押し込まれ、熱板で料理をする。そして、毎晩80~100香港ドルの生活費を支払っている、とある女性は語る。彼女も本記事のために取材した他の女性と同様、名前を出すことを恐れていた。

ある一軒のバーで出会った女性に、着実にドリンクをご馳走し続けながら、ビジネスを語ってもらった。女性達は、顧客からご馳走になったドリンク1杯につき、バーから40香港ドルをもらうのだという。

彼女は立ち聞きされていないかを恐れながら、声を低め続ける。そして、私の膝の上に片手を置き、話をしている間も、頻繁に肩ごしからマネージャーの目を伺っている。

「アパートのレンタル費を払うことが大変な時もたまにあるの」と彼女は言う。「ここに着いた最初の週は病気になってしまったけれど、マネージャーはそれでも私からお金を取ろうとしたわ」。彼女は、香港での滞在を延長するビザ取得のために行ったマカオから戻ったばかりだ。

今週の日曜のバーは、男性よりも女性で混み合っている。誰が仕事で来ていて、誰が単に休日をディスコで楽しんでいる家政婦なのかをはっきりと見分けることは不可能だ。

しかし、すぐにそれが明確になってくる。

「常に供給が需要を上回っている」と同地域に詳しい香港在住者は言う。「(セックスの)金額は、最近は1500香港ドルから500香港ドルへと下がってきている」

女性の大半はフィリピン人であるが、多国籍の人種が混じっている。インドネシア人、タイ人、ベトナム人、ラオス人、モンゴリア人、中国本土人がいる。コロンビア、ベネズエラ、ラトビア人、エストニア人がいるバーさえもある。

「私達はワーキングホリデーで香港にいるの。ドリンクをご馳走してくれない?」ブロンズ髪の女性が、一般的なヨーロッパの訛りで語る。

長く香港にいる外国人が見る世間一般の通念で言えば、ワンチャイのバーでたむろする家政婦の何人かは、「ボーイフレンドや夫を探しているだけで、必ずしも売春婦ではない」

その他の女性は、母国の家族へ送金するお金を稼ぐために風俗業で働いている、とフィリピン領事館の役人は語る。

日曜の午後、教師と名乗るワンチャイの常連客が、このように説明してくれる。「この近辺にいるインドネシアの女性とデートしていたんだ。私は彼女を女中として雇い、就労許可をあげたいと思った。でも、妻がこの考えには賛同してくれなかった」

彼は、最初は、不倫相手は本当に女中だと思っていたが、彼の友達の一人が、彼女は本当はバーで働いていることを教えてくれたという。よくある幻想で終わったわけだ。やけに親密な女性たちは、単に楽しい時間を過ごすことのみを目的にバーに出入りする家政婦なだけなのだ。

バーにいるある一人のインドネシアの女性は、休みの日にワンチャイに行くのは、単にダンスを楽しむためだ、と主張する。彼女は間違いなく楽しい時間を過ごしており、信用できないからハンサムな男性は嫌いで、年配のあまり魅力的でない男性を好むというバーで働く女性にありがちな言葉を繰り返す。

彼女の59歳の年配のボーイフレンドは、二人が出会った場所がワンチャイであるにも関わらず、彼女がワンチャイに行くことを好まないという。携帯電話で彼にSMSテキストメッセージを打ちながら彼女は言葉を続ける。

「私のボーイフレンドは、私がミスタイ(タイの美女)のようだと言うのよ」と彼女。「彼のタイのガールフレンドが、車の事故で亡くなってしまったらしいの。彼、私と結婚してくれるといいんだけれど」彼女は二杯目のドリンクを拒否する。

香港の支援団体United Filipino の女性会長であるドロレス・バラデアスさん(Dolores Balladares)は、ワンチャイで働く女性の何人かは、家政婦としての仕事を約束されて香港に来るが、売春を強制されている、と語っているという。しかし、これを立証できる証拠はない。

この状況にも関わらず、助けを求める女性はほとんどいない。「彼女達にはあまりにも恐くて、助けを求めることができないです」とバラデアスさん。「私達の文化はこういった行いは下劣だとみなしていますので」

常にお金を必要とし、1日分のスタンプを与えられ、母国に帰るように言われる前に、どの位、短期滞在のビザを更新できるのかと思いをめぐらせながら、ワンチャイにいる出稼ぎフィリピン人労働者は、常連客探しへと、深く広くはまっていく。

彼女達は喜んで電話番号を渡し、ホーム「サービス」を提供している。ドリンク代だけで借金返済に必要なお金をためることは不可能だからだ。

「香港はすごく物価が高いから」悲しそうな目でバーのツールに座る女性が抑揚をつけて言う。彼女はアパートのレンタル料、食費、リクルートメント代の借金、そして、もしラッキーであれば、母国の家族のもとに返してもらうための現金が必要なのだ。

毎年約50万人以上の男女が、海外出稼ぎのためにフィリピンを出国し、毎年数十億ドルが母国に送金される。これが苦悩するフィリピン経済を支え続けるための重要な要因となっている。

フィリピンの政府は、こういった海外出稼ぎ労働者たちを、ヒーローと呼んでいる。

女性にとっての海外での仕事は、主に家政婦のようにスキルなしでできる低賃金のものが中心となっている。これらの仕事に就ける人はまだましだ。売春婦やメールオーダーの花嫁になったり、日本のバーやクラブで働く出稼ぎフィリピン人を指す俗語である「ジャパゆきさん」になってしまうケースもある。

昔は、ワンチャイで働くフィリピン人の多くは、ディスコで法的に踊るためのエンタテイメントビザが保証されていた。しかし、今ではこのビザが発行されることはめったにないと領事館は言う。

現在、出稼ぎ売春婦は、14日のツーリストビザで入国する。彼女達は、マカオと深川を往復してビザを延長し、これにより約3ヶ月滞在することができる、と領事館の役人は説明する。

「移民局はどうやって彼女達が売春婦と立証できるのですか?」と彼は尋ねる。

マカオと深川を出る時に、彼女達は、ツーリストであることを証明するために、できるだけ多くの現金をかき集めるのだ、と役人は答える。そうすることで、移民局が尋問し始めるまでに、彼女たちは何回か出入国できるのだという。

女性達は、香港の経済に貢献すると主張することで、現金を口論のために利用するよう訓練されている。バーで私が出会った女性は、私に一緒に中国に同行してくれないかと尋ねてきた。外国人と一緒に旅行することで、香港により戻りやすくなるのだという。

「香港の移民局は無能だ」と領事館の役員は説明する。「彼らができることは、女性たちの香港滞在期間を制限することだけだ」しばらくしてから、移民局は、彼女達のビザ入国を一日に制限する。

「通常、女性達から連絡が来るのは、この事態が起こった時だけです」と役人は説明する「母国に帰るための航空運賃を払う現金がないため、絶望的になって我々のところにやってきます。我々は彼女たちが出国するまで仮の宿泊場所を提供します」

顧客をひきつけるために、安価で女性達をバーに確保する一つの方法なのだが、悲壮で絶望的なシステムだ。

ワンチャイのフィリピン女性は通常は、田舎出身の素朴な少女たちだ。

「最も貧困な地域から少女たちがリクルートされます」とバラデアスさん。フィリピン経済の悪化に伴い、教育を受けた人達でさえも仕事を見つけられなくなっています。「この状況が女性に売春を強いているのです」

領事館は、女性の人身売買を深刻な問題と捉えており、フィリピン政府は、これを食い止めるために、マニラ空港で女性のスクリーニングを実施している。地元の新聞でも、人身売買を阻止するキャンペーンを実施しており、香港やその他の中国の都市での売春に巻き込まれる危険性に関する情報を提供している。

もちろん人身売買を阻止するものがあるかどうかは疑わしい。

香港のマッサージパーラーと、ここで働く地元と中国本土から来た自由流動のスタッフたちのことはよく知られ、実証されている。法的に「女性一人」で運営する売春宿がこの領域中にあり、彼女たちの多くは、ウェブサイトや通りの看板を通じて、公に自分たちのサービスを宣伝している。一方、ウェスト・カオルーンにおける反悪徳運動において、警察が火曜日に295人の女性を捕まえ、その内、中国本土からの40人の女性を、屋外の鋼鉄の檻内に拘束したことで批評を受けている。

しかし、ワンチャイにある一種の大衆向けのディスコでビールを飲んだことのある人なら誰にでも明らかであるにも関わらず、カジュアルなバーで働く女性たちの非公式な人身売買について、調査が行われたことはほとんどない。

これら女性は法的な権利や医療サービスを保持していない。従業員でもないので、職場での保護もない。冬になると熱帯性の母国と比較して香港は寒いことを知らない彼女達は寒さで震えている。

どのようなトラブルがあるにしろ、傷つけられたり虐待されたりしたことで、彼女たちが警察に行くことはない。客引きで告発されることを恐れるためだ。彼女たちはマネージャーや顧客の言いなりになっているのだ。

警察署のスポークスマンは、ワンチャイの状況は「よく管理されている」と言う。「売春勧誘や違法滞在が理由で、通常の密かな運営が、バーで働く女性の逮捕、告発、本国送還につながることもある」と彼は言う。

1950年代にリチャード・メイソン氏によって書かれた、怪しげながらロマンチックなWorld of Suzie Wongという小説で不滅になったワンチャイは、酔っ払いの水兵や売春で有名になった。

真実は決して美しいものではない。Suzie Wongの時代は、ワンチャイのネオン街には、何百もの薄暗い売春宿、ダンスホール、マッサージパーラーが軒を並べていた。ワンチャイは地元の性風俗産業の中心地であったが、今ではその大半がMong Kok やSham Shui Poに移行している。

繁栄と共に、ワンチャイは高価なアパートや独自の魅力により、トレンディーなスポットとなった。

しかし、実際、売春はなくなっていない。今日のSuzie Wongの大半は、主にアジアの「ワールドシティー」でお金持ちになることを夢見ながら影の世界で生きるフィリピン人やタイ人たちなのだ。

何が欲しいの?と、ワンチャイのバーで、一人の女性に尋ねてみる。恐らく「外国人のボーイフレンドか夫」と彼女たちは答えるだろう。「お金とより良い生活が欲しいの」

母国に帰りなさい。あなたはそう言うだろう。ここではそれは実現しないから。